国家賠償——1条責任と2条責任
国家賠償法1条(公務員の不法行為)
国家賠償法 第1条第1項 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
— e-Gov 法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000125)
成立要件
- 公権力の行使(権力的作用。私経済的活動は民法709条)
- 公務員による行為(広義:行政委託先も含む)
- 職務を行うについて(外形標準説)
- 故意または過失
- 違法性
- 損害・因果関係
求償権(1条2項)
前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。
被害者は国・公共団体にしか請求できず、公務員個人への直接請求は認められない(最判昭和30年4月19日)。
国家賠償法2条(営造物の瑕疵)
国家賠償法 第2条第1項 道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責任を負う。
無過失責任
2条責任は無過失責任。設置・管理者の過失を要しない。
「瑕疵」の意義
営造物が通常有すべき安全性を欠くことをいい、これに基づく国及び公共団体の賠償責任については、その過失の存在を必要としない。
— 最判昭和45年8月20日(高知落石事件)・民集24巻9号1268頁
予算不足と瑕疵(最大判昭和56年12月16日・大東水害訴訟)
河川の管理については……多くの治水事業のうちどの事業を優先させるかについて政策的・技術的な判断が必要であり、財政的制約のもとで……一定の合理性を有する限りその瑕疵を認めることができない。
河川等の自然公物については、管理の特殊性から瑕疵の判断が緩やかになる。
相互保証主義(国賠法6条)
この法律は、外国人が被害者である場合には、相互の保証があるときに限り、これを適用する。
民法との関係
国賠法1条・2条は民法の特別法。国賠法が適用される場面では民法709条は原則適用されない。
出典
- 国家賠償法1条・2条・6条(e-Gov 法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000125)
- 最判昭和45年8月20日・民集24巻9号1268頁(高知落石事件)
- 最大判昭和56年12月16日(大東水害訴訟)