行政罰——行政刑罰と秩序罰(過料)
行政罰の種類
行政上の義務違反に対する制裁。刑事罰と異なり行政目的の実現を主眼とする。
| 種類 | 内容 | 科す手続 |
|---|---|---|
| 行政刑罰 | 懲役・禁錮・罰金・拘留・科料・没収 | 刑事訴訟手続 |
| 秩序罰(過料) | 過料(罰金より軽い金銭制裁) | 非訟事件手続 or 行政庁 |
行政刑罰
刑法総則が原則適用される(法人両罰規定・故意犯原則等)。刑事訴訟手続によるため、検察官起訴・裁判所の判断が必要。
両罰規定:違反行為をした従業員だけでなく、使用者(法人)も処罰する規定。行政刑罰では広く採用。
秩序罰(過料)
軽微な義務違反(届出義務違反・報告義務違反等)に対して科される。
地方自治法上の過料(地自法255条の3)
条例に違反した者に対し、条例で5万円以下の過料を科す旨の規定を設けることができる。
行政代執行との違い
| 比較点 | 行政代執行 | 過料(秩序罰) |
|---|---|---|
| 対象義務 | 代替的作為義務 | 各種義務違反全般 |
| 効果 | 義務の強制的実現 | 制裁(義務は実現しない) |
| 法的性格 | 行政上の強制執行 | 行政罰 |
行政罰と刑事罰の二重処罰
同一行為について行政罰と刑事罰を科しても**憲法39条(二重処罰禁止)**には違反しない(判例・通説)。行政罰と刑事罰は性格が異なるため、一事不再理の原則は行政罰間・刑事罰間にのみ適用される。
課徴金との違い
課徴金は不当利得の剥奪・違反抑止を目的とする行政上の金銭的不利益処分(独占禁止法等)。行政罰(制裁)とは性格が異なり、刑事罰との二重課徴が認められる。
非申告税額に対する加算税
加算税(国税通則法65条等)は行政上の制裁であり、刑事罰(脱税の罰則)との併科が認められる(最判昭和33年4月30日)。
出典
- 地方自治法255条の3(e-Gov 法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000067)
- 国税通則法65条(e-Gov 法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000066)
- 最判昭和33年4月30日(加算税と刑事罰の併科)