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記事/行政法

損失補償——適法な公権力行使による財産的損失の補填

損失補償の根拠

憲法29条3項が損失補償の憲法的根拠。

日本国憲法 第29条第3項 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

— e-Gov 法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/321CONSTITUTION)

国家賠償(違法行為による損害)との対比:損失補償は適法な行為による財産的損失を補填する制度。

補償の要否——特別の犠牲の法理

すべての財産的制約が補償対象になるわけではない。特別の犠牲(社会的制約を超える侵害)かどうかで補償の要否が決まる。

区分 補償
社会的制約(内在的制約) 不要
特別の犠牲 必要

判断基準(形式的基準・実質的基準)

  • 形式的基準:特定の者への侵害か、不特定多数への一般的制約か
  • 実質的基準:侵害の強度・財産権の本質的内容への侵害か否か

直接請求の可否(憲法29条3項の直接適用)

補償規定のない法律に基づく財産権の侵害に対し、憲法29条3項を直接の根拠として補償請求できるか。

河川附近地制限令事件(最大判昭和43年11月27日)

損失補償に関する規定を欠く法令による財産権の侵害であっても、特別の犠牲として29条3項の趣旨に照らし、直接同条項を根拠として補償請求できる場合がある。

— 最大判昭和43年11月27日・刑集22巻12号1402頁

正当な補償の内容

完全補償説(通説)

財産権の客観的な市場価格に基づく完全な補償を要する。

相当補償説(農地改革事件・最大判昭和28年12月23日)

補償の額は、その当時の経済状態において成立することを考えられる価格に基づき、合理的に算出された相当な額を指す。

農地改革という特殊な政策目的下での判断として、現在の通説は完全補償説を採る。

土地収用と補償(土地収用法)

土地収用法 第71条 収用する土地に対する補償金の額は、近傍類地の取引価格等を考慮して算定した事業の認定の告示の時における相当な価格に……補償するものとする。

— e-Gov 法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000219)

損失補償と生活補償

財産権の補償にとどまらず、生活再建のための生活補償(移転料・移転補償・営業補償等)も問題となる。土地収用法では通損補償として規定。

出典

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