社会権——生存権・教育を受ける権利・労働基本権
社会権とは
自由権が「国家からの自由」であるのに対し、社会権は「国家による自由」——国家に積極的な給付・配慮を求める権利。
生存権(憲法25条)
日本国憲法 第25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
— e-Gov 法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/321CONSTITUTION)
法的性格論
| 学説 | 内容 |
|---|---|
| プログラム規定説 | 国家の政治的義務にすぎず、裁判規範性なし |
| 抽象的権利説(通説) | 具体的立法で初めて請求権が生まれる |
| 具体的権利説 | 立法なくても直接25条を根拠に請求可能 |
朝日訴訟(最大判昭和42年5月24日)
何が健康で文化的な最低限度の生活であるかの認定判断は、いちおう、厚生大臣の合目的的な裁量に委されている。
— 最大判昭和42年5月24日・民集21巻5号1043頁
堀木訴訟(最大判昭和57年7月7日)
25条の規定の趣旨にこたえて具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定は、立法府の広い裁量に委ねられており、それが著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用と見ざるをえないような場合を除き、裁判所が審査判断するのに適しない。
— 最大判昭和57年7月7日・民集36巻7号1235頁
教育を受ける権利(憲法26条)
日本国憲法 第26条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
2 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。
「無償」の範囲:授業料のみ(最大判昭和39年2月26日)
労働基本権(憲法28条)
日本国憲法 第28条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
労働三権:団結権・団体交渉権・団体行動権(争議権)
公務員の労働基本権制約:
| 区分 | 団結権 | 団交権 | 争議権 |
|---|---|---|---|
| 一般職国家公務員 | 職員団体(○) | 交渉可(協約締結×) | × |
| 警察・消防・自衛隊 | × | × | × |
| 地方公務員 | 職員団体(○) | 交渉可(協約締結×) | × |
出典
- 日本国憲法25条・26条・28条(e-Gov 法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/321CONSTITUTION)
- 最大判昭和42年5月24日・民集21巻5号1043頁(朝日訴訟)
- 最大判昭和57年7月7日・民集36巻7号1235頁(堀木訴訟)