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記事/憲法

裁判所と違憲審査制——司法権と憲法の番人

司法権の帰属(憲法76条)

日本国憲法 第76条第1項 すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。

第76条第2項 特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。

— e-Gov 法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/321CONSTITUTION)

行政裁判所・軍事裁判所等の特別裁判所は禁止。行政事件も通常裁判所が管轄。

司法権の範囲——「法律上の争訟」

裁判所法3条1項は「法律上の争訟」を司法権の対象とする。

法律上の争訟とは、当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって、かつ、それが法律の適用によって終局的に解決することができるものに限られる。

— 最判昭和56年4月7日(板まんだら事件)・民集35巻3号443頁

宗教的・学術的問題は法律上の争訟に当たらず、司法審査の対象外。

違憲審査権(憲法81条)

日本国憲法 第81条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

付随的違憲審査制(日本の立場)

日本は具体的事件の解決に付随して違憲審査を行う方式(アメリカ型)。抽象的に法令の合憲性のみを判断する抽象的違憲審査制(ドイツ・オーストリア型)は採らない(通説・最大判昭和27年10月8日)。

統治行為論

高度に政治性を帯びた国家行為については、法的判断が可能でも司法審査を差し控える

苫米地事件(最大判昭和35年6月8日)

衆議院の解散は……高度の政治性を有し、法律上の争訟として裁判所の審査権が及ぶべき性質のものではない。

— 最大判昭和35年6月8日・民集14巻7号1206頁

砂川事件(最大判昭和34年12月16日)

本件安全保障条約……は、主権国としてのわが国の存立の基礎に極めて重大な関係をもつ高度の政治性を有するものであって……その内容が違憲かどうかの法的判断は、その性質上裁判所の審査には、原則としてなじまない。

裁判官の独立・身分保障(憲法78条・79条・80条)

  • 裁判官は良心に従い独立して職権行使(76条3項)
  • 心身故障・弾劾裁判による場合を除き罷免不可(78条)
  • 最高裁裁判官は国民審査(79条2項)
  • 下級裁判官は内閣任命・最高裁指名(80条1項)、任期10年

出典

  • 日本国憲法76条・78条〜81条(e-Gov 法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/321CONSTITUTION)
  • 最大判昭和27年10月8日(警察予備隊違憲訴訟・抽象的違憲審査制否定)
  • 最大判昭和34年12月16日(砂川事件)
  • 最大判昭和35年6月8日・民集14巻7号1206頁(苫米地事件)
  • 最判昭和56年4月7日・民集35巻3号443頁(板まんだら事件)

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