過去問クエスト憲法(過去問)★★★★☆2022年度
財産権の保障(憲法29条)に関する次の記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものはどれか。
選択肢
- 憲法29条1項は私有財産制度を保障し、同条2項は財産権の内容は法律で定められると規定するが、法律による財産権制限は一切許されない。
- 奈良県ため池条例事件において最高裁は、ため池の堤塘耕作禁止を定める条例が財産権(耕作の権利)を侵害し憲法29条に違反するとした。
- ✓公共のために用いる場合に私有財産を収用するには正当な補償が必要であるが(憲法29条3項)、損失補償は完全補償でなく相当補償で足りるとする判例がある。
- 森林法の共有林分割制限規定について、最高裁は合憲と判示した。
- 森林法事件において最高裁は、共有森林の分割請求を制限する規定を憲法29条に違反しないと判示した。
解説
農地改革に関する最大判昭和28年12月23日は、損失補償について「完全な補償ではなく、その時の経済状態において成立することを考えられる価格に基づく相当な補償」(相当補償説)で足りると判示した。aは誤り(法律による制限は可能・29条2項)。bは誤り(奈良県ため池条例事件は合憲とした)。dは誤り(最大判昭和62年4月22日は森林法の共有林分割制限規定を違憲とした)。
ポイント
損失補償(29条3項):農地改革判例→相当補償説(完全補償不要)。森林法共有林分割制限→違憲(昭和62年判決)。
ひっかけポイント
損失補償に完全補償が必要と誤解しやすい。判例(農地改革)は相当補償説をとる。ただし土地収用法での補償は完全補償が必要とする判例もある。
Source
- [判例] 最大判昭和28年12月23日(農地改革事件)
最高裁判所 · 2026-06-15 · リンク
更新日: 2026-06-15 · 法令基準日: 2026-04-01