行政指導——任意協力を求める行為の法的位置づけ
行政指導の定義
行政手続法2条6号が明確に定義する。
行政手続法 第2条第6号 行政指導 行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう。
— e-Gov 法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/205AC0000000088)
行政指導の特徴
- 任意性 — 相手方は従う法的義務なし
- 処分性なし — 原則として取消訴訟の対象外
- 不利益取扱禁止 — 指導に従わないことを理由に不利益な取扱い禁止(行手法32条2項)
行政手続法 第32条 行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。
2 行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。
書面交付請求権(行手法35条)
相手方は書面による行政指導の内容・責任者の明示を求めることができる。
行政手続法 第35条第1項 行政指導に携わる者は、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければならない。
申請に関連する行政指導(行手法33条)
申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。
重要判例——品川マンション事件
行政指導に対して任意に協力して建築確認申請を留保していた者は、当該行政指導が違法なものとなった場合、建築確認申請に対して直ちに応答する義務が生ずる。
— 最判昭和60年7月16日(民集39巻5号989頁)・品川マンション事件
この判例は、行政指導を理由とした確認申請の留保が一定期間を超えると違法になることを示した。
行政指導と国家賠償
行政指導自体は処分でないため取消訴訟の対象外。しかし違法な行政指導によって損害が生じた場合、国家賠償法1条に基づく損害賠償請求が可能。
出典
- 行政手続法2条6号・32条・33条・35条(e-Gov 法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/205AC0000000088)
- 最判昭和60年7月16日・民集39巻5号989頁(品川マンション事件)