義務付け訴訟・差止め訴訟——行政訴訟の新類型
平成16年行訴法改正で新設
従来の取消訴訟・無効確認訴訟に加え、義務付け訴訟と差止め訴訟が明文化(行政事件訴訟法3条6項・7項)。
義務付け訴訟(行訴法3条6項)
行政事件訴訟法 第3条第6項 この法律において「義務付けの訴え」とは、次に掲げる場合において、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう。 一 行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき(非申請型) 二 行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請……がされた場合において、当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにかかわらずこれがされないとき(申請型)
— e-Gov 法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000139)
非申請型義務付け訴訟(1号義務付け)
要件:
- 一定の処分がされないこと
- 重大な損害を生ずるおそれ(37条の2第1項)
- 損害を避けるため他に適当な方法がない
- 法令上申請権のない場合
行政庁が処分を行うことが裁量権の範囲を超え・濫用の場合に認容(37条の2第5項)。
申請型義務付け訴訟(2号義務付け)
申請拒否・不作為に対して処分を義務付ける。取消訴訟または不作為の違法確認訴訟と併合提起が必要(37条の3第3項)。
差止め訴訟(行訴法3条7項)
「差止めの訴え」とは、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟をいう。
要件:
- 一定の処分がされようとしていること
- 重大な損害を生ずるおそれ(37条の4第1項)
- 損害を避けるため他に適当な方法がない
- 処分をしてはならないことが明らか(または裁量権逸脱・濫用)(37条の4第5項)
仮の義務付け・仮の差止め(行訴法37条の5)
義務付け・差止め訴訟の提起と同時に申立て可。
義務付けの訴えの提起があった場合において、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもって、仮に行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることができる。
当事者訴訟(行訴法4条)
公法上の法律関係に関する訴訟。確認訴訟として近年活用が広がる。
当事者訴訟とは、当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの及び公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟をいう。
出典
- 行政事件訴訟法3条6項・7項・37条の2〜37条の5(e-Gov 法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000139)