行政法総論 ─ 基本概念と行政行為
出典法令
- 行政手続法(平成5年法律第88号)
- 行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)
- 地方自治法(昭和22年法律第67号)
行政法とは
行政法は、国や地方公共団体(行政)と私人との関係を規律する法の総称。単一の「行政法典」は存在せず、行政手続法・行政事件訴訟法・国家賠償法などの個別法から構成される。
行政行為の分類
| 種類 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 許可 | 一般的禁止の解除 | 運転免許・建築確認 |
| 特許 | 新たな権利の設定 | 公有水面埋立免許 |
| 認可 | 私人間の行為に法的効果付与 | 農地売買の許可 |
| 下命 | 義務の賦課 | 原状回復命令 |
| 免除 | 義務の解除 | — |
| 確認 | 法律事実の公権的確認 | 当選人の決定 |
| 公証 | 特定事実の証明 | 選挙人名簿への登録 |
| 通知 | 意思・事実の知らせ | 代執行の戒告 |
| 受理 | 申請の受付 | — |
試験ポイント:許可・特許・認可の違い
- 許可 = もともと自由だったものの禁止を解く
- 特許 = 行政が新たに権利・能力・法律関係を設定する
- 認可 = 私法行為を補完し法的効力を与える
行政行為の効力
公定力
行政行為は権限ある機関が取り消すまで有効とみなされる。違法でも、取消訴訟等で争うまでは有効として扱われる。
不可争力(形式的確定力)
取消訴訟の出訴期間(原則6か月)が経過すると、私人はもはや争えなくなる効力。
不可変更力(実質的確定力)
行政機関自身が職権で取り消せなくなる効力。審決・裁決など準司法的行為に認められる。
執行力(自力執行力)
行政機関が私人の協力なしに強制的に実現できる効力。
行政裁量
羁束行為 vs 裁量行為
- 羁束行為:要件が充足されれば行政は特定の行為をしなければならない
- 裁量行為:行政に判断余地が認められている
裁量の逸脱・濫用
行政事件訴訟法 第30条 行政庁の裁量処分については、裁量権の範囲をこえ又はその濫用があった場合に限り、裁判所は、その処分を取り消すことができる。
(出典:行政事件訴訟法 昭和37年法律第139号)
- 逸脱:裁量の範囲を超える
- 濫用:範囲内でも目的・動機が不当
行政指導
行政手続法 第32条 行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。
行政手続法 第33条 申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはならない。
(出典:行政手続法 平成5年法律第88号 e-Gov法令検索)
行政指導は非権力的事実行為であり、相手方の任意の協力を求めるもの。
行政指導に従わなかったことを理由に不利益処分をすることは禁止。
参照法令・判例
| 法令・判例 | 条文・事件名 |
|---|---|
| 行政手続法(平成5年法律第88号) | 32条(行政指導の一般原則)、33条(申請関連の行政指導) |
| 行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号) | 30条(裁量処分の取消) |
| e-Gov法令検索 | https://laws.e-gov.go.jp/ |
キーワードまとめ
- 公定力:取消されるまで有効
- 不可争力:出訴期間経過で争えない
- 裁量の逸脱・濫用:取消事由(行訴法30条)
- 行政指導:任意・非権力的。従わないことを理由に不利益処分禁止(行手法33条)