法律用語集
試験問題に頻出する専門用語を、憲法・民法・行政法の分野別にまとめた。用語ごとに関連する演習問題へリンクしているので、意味を覚えたらそのまま問題で確認できる。
憲法
97語基本的人権
きほんてきじんけん人間が生まれながらに有する固有の権利。憲法11条・97条により、侵すことのできない永久の権利として保障される。
私人間効力
しじんかんこうりょく憲法の人権規定が私人相互間の関係にも適用されるかという問題。判例は民法90条等の一般条項を介する間接適用説をとる。
法の下の平等
ほうのもとのびょうどう憲法14条。合理的理由のない差別的取扱いを禁止する原則。相対的平等・合理的区別は許容される。
表現の自由
ひょうげんのじゆう憲法21条。思想・意見を外部に表明する自由。検閲の禁止・事前抑制の原則禁止を含む優越的地位を持つ権利。
検閲
けんえつ行政権が主体となり、思想内容等の表現物を網羅的・一般的に発表前審査し、不適当と認めるものの発表を禁止すること。憲法21条2項により絶対的に禁止される。
政教分離原則
せいきょうぶんりげんそく国家の宗教的中立性を要求する原則(20条・89条)。行為の目的と効果に着目する目的効果基準で違反の有無を判断する。
学問の自由
がくもんのじゆう憲法23条。研究の自由・研究発表の自由・教授の自由に加え、大学の自治を制度的に保障する。
大学の自治
だいがくのじち学問の自由を担保するため、大学の人事・施設管理・学生管理につき大学自身の自主的決定を認める制度。
職業選択の自由
しょくぎょうせんたくのじゆう憲法22条1項。自己の従事する職業を決定する自由。選択した職業を遂行する営業の自由も含むと解される。
財産権
ざいさんけん憲法29条。私有財産制と個人の財産権を保障する。公共の福祉による制約に服し、正当な補償のもとに公用収用されうる。
損失補償
そんしつほしょう適法な公権力の行使によって加えられた財産上の特別の犠牲に対して行われる補償(29条3項)。
生存権
せいぞんけん憲法25条。健康で文化的な最低限度の生活を営む権利。プログラム規定説と法的権利説の対立がある。
教育を受ける権利
きょういくをうけるけんり憲法26条。その能力に応じて等しく教育を受ける権利。義務教育の無償も定める。
労働基本権
ろうどうきほんけん憲法28条。団結権・団体交渉権・団体行動権(争議権)の総称。労働者の経済的地位向上を図るための権利。
適正手続の保障
てきせいてつづきのほしょう憲法31条。法律の定める手続によらなければ、生命・自由を奪われ、または刑罰を科されないとする原則。
令状主義
れいじょうしゅぎ逮捕・捜索・押収等の強制処分には、原則として裁判官が発する令状を要するとする原則(33条・35条)。
黙秘権
もくひけん何人も自己に不利益な供述を強要されない権利(38条1項)。自己負罪拒否特権とも呼ばれる。
一票の格差
いっぴょうのかくさ選挙区間における議員一人当たり有権者数の較差の問題。法の下の平等(14条)との関係で違憲状態と判断された例もある。
統治行為
とうちこうい国家統治の基本に直接関する高度の政治性を有する行為で、法律上の争訟であっても司法審査の対象外とされるもの。
違憲審査制
いけんしんさせい裁判所が法律・命令・処分等の憲法適合性を審査する制度(81条)。日本は付随的審査制を採用する。
付随的審査制
ふずいてきしんさせい具体的な訴訟事件の解決に必要な限度でのみ、法令等の違憲審査を行う制度。抽象的違憲審査制と対比される。
国会
こっかい国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関(41条)。衆議院と参議院からなる二院制を採用する。
衆議院の優越
しゅうぎいんのゆうえつ法律案の議決、予算の議決・先議、条約承認、内閣総理大臣の指名等について、衆議院の意思を参議院に優先させる制度。
内閣
ないかく行政権の主体(65条)。内閣総理大臣とその他の国務大臣で組織される合議体。
議院内閣制
ぎいんないかくせい内閣が国会の信任に基づいて存立し、国会に対して連帯して責任を負うとする統治の仕組み。
内閣不信任決議
ないかくふしんにんけつぎ衆議院が内閣の信任を失ったとする決議。可決された場合、内閣は10日以内に衆議院を解散するか総辞職しなければならない(69条)。
司法権の独立
しほうけんのどくりつ裁判官がその良心に従い独立してその職権を行い、憲法及び法律にのみ拘束されるとする原則(76条3項)。
財政民主主義
ざいせいみんしゅしゅぎ国の財政を処理する権限は、国会の議決に基づいて行使されなければならないとする原則(83条)。
憲法改正
けんぽうかいせい各議院の総議員の3分の2以上の賛成による国会の発議と、国民投票における過半数の賛成を要する改正手続(96条)。
天皇の国事行為
てんのうのこくじこうい内閣の助言と承認により天皇が行う、形式的・儀礼的な行為(6条・7条)。天皇は国政に関する権能を有しない。
幸福追求権
こうふくついきゅうけん個別の人権規定でカバーされない新しい人権の根拠となる、憲法13条後段の包括的権利。
プライバシー権(自己決定権)
ぷらいばしーけん私生活をみだりに公開されない権利として判例上承認され、今日では自己に関する情報をコントロールする権利や自己決定権を含むと理解されている。
外国人の人権
がいこくじんのじんけん権利の性質上日本国民のみを対象とすると解されるものを除き、外国人にも人権保障が及ぶとする性質説に基づく議論。
法人の人権
ほうじんのじんけん自然人を対象とする人権規定であっても、性質上可能な限り法人にも適用されるとする議論。
思想及び良心の自由
しそうおよびりょうしんのじゆう内心における個人の思想・信条の自由。沈黙の自由を含み、絶対的に保障される。
集会の自由
しゅうかいのじゆう多数人が共通の目的をもって一定の場所に集まる自由。表現の自由の一環として保障される。
通信の秘密
つうしんのひみつ郵便・電話・通信等の内容を国家に知られない自由。
罪刑法定主義
ざいけいほうていしゅぎいかなる行為が犯罪となり、いかなる刑罰が科されるかをあらかじめ法律で定めておかなければならないとする原則。
二重の基準論
にじゅうのきじゅんろん精神的自由の規制立法は経済的自由の規制立法より厳格な基準で違憲審査すべきとする憲法解釈上の理論。
規制目的二分論
きせいもくてきにぶんろん経済的自由の規制を消極目的規制と積極目的規制に分け、審査基準を区別する議論。
事情判決
じじょうはんけつ処分・裁決が違法であっても、これを取り消すことで公の利益に著しい障害を生じる場合に、違法を宣言しつつ請求を棄却する判決。
予算の先議権
よさんのせんぎけん予算について衆議院が参議院に先立って審議する権限。
条約の承認
じょうやくのしょうにん内閣が締結した条約について、事前または事後に国会が行う承認。
弾劾裁判所
だんがいさいばんしょ罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織される機関。
国政調査権
こくせいちょうさけん各議院が国政に関し調査を行い、証人の出頭・証言・記録の提出を要求できる権限。
地方自治の本旨(住民自治・団体自治)
ちほうじちのほんし地方自治の運営が住民の意思に基づく住民自治と、国から独立した団体が自主的に行う団体自治の2要素からなるという原則。
憲法の最高法規性
けんぽうのさいこうほうきせい憲法が国の最高法規であり、これに反する法律・命令等はその効力を有しないとする性質。
会期(常会・臨時会・特別会・緊急集会)
かいき国会が活動能力を有する期間の区分。毎年1回召集される常会、必要に応じ召集される臨時会、衆議院解散後の特別会、参議院の緊急集会がある。
居住移転の自由
きょじゅういてんのじゆう自己の意思で居住地を定め、移転する自由。経済的自由の側面と、人身の自由・精神的自由の側面をあわせ持つとされる。
選挙権・参政権
せんきょけん・さんせいけん国民が公務員を選定罷免する権利を実質化する選挙権をはじめとする、国政に参加する権利の総称。
平等原則(相対的平等)
びょうどうげんそく同一の事情・条件の下では均等に扱うことを求める一方、事柄の性質に応じた合理的な区別は許容されるとする平等の理解。
知る権利
しるけんり表現の自由の受け手の側面として、国民が情報を受け取る自由を保障するために学説上主張される権利。
環境権・新しい人権
かんきょうけん良好な環境を享受する権利など、憲法制定当時想定されていなかった利益を憲法13条等を根拠に人権として保障しようとする学説上の主張。判例上、独立の権利として明確に認められた例はない。
アクセス権
あくせすけんマスメディアに対し自己の意見の発表の場を提供するよう求める権利として学説上主張されるもの。最判昭和62年4月24日(サンケイ新聞事件)はこれを否定した。
自己負罪拒否特権
じこふざいきょひとっけん何人も自己に不利益な供述を強要されないとする特権。黙秘権の憲法上の根拠となる。
二重の危険禁止(一事不再理)
にじゅうのきけんきんし同一の犯罪について重ねて刑事上の責任を問われないとする原則。
国会議員の免責特権・不逮捕特権
めんせきとっけん・ふたいほとっけん議院で行った演説・討論・表決について院外で責任を問われない免責特権と、法律の定める場合を除き会期中逮捕されない不逮捕特権。
国民審査
こくみんしんさ最高裁判所裁判官について、任命後初めて行われる衆議院議員総選挙の際等に国民の投票に付され、罷免の可否が審査される制度。
会計検査院
かいけいけんさいん国の収入支出の決算を検査する、内閣に対し独立の地位を有する機関。
平和主義
へいわしゅぎ戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認を定める憲法の基本原理。前文と9条に規定される。
内閣の総辞職
そうじしょく内閣が自らの意思により、または内閣不信任決議可決時の非解散選択・内閣総理大臣の欠缺・衆議院議員総選挙後の国会召集時等に、その職を辞すること。
国務大臣の任免・罷免
こくむだいじんのにんめん・ひめん内閣総理大臣が国務大臣を任意に任命し、また任意に罷免することができる権限。
裁判官の身分保障
さいばんかんのみぶんほしょう裁判官は、心身の故障・公の弾劾による場合を除き、在任中その意に反して罷免されないとする保障。
最高裁判所の規則制定権
さいこうさいばんしょのきそくせいていけん訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律等について、最高裁判所が規則を定める権限。
両院協議会
りょういんきょうぎかい衆議院と参議院の議決が一致しない場合に、意見の調整のため両院の議員で組織される協議機関。
公務員の人権(政治的行為の制限)
こうむいんのじんけん公務員の政治的中立性を確保するため、法律により公務員の政治的行為が制限されること。合憲性が判例上たびたび争われてきた。
投票価値の平等
とうひょうかちのびょうどう各選挙人の投票の価値が平等であるべきとする要請。議員定数配分における較差が問題となる。
証人審問権
しょうにんしんもんけん刑事被告人が、自己に不利益な証人を審問する機会を十分に与えられる権利。
尊属殺重罰規定違憲判決
そんぞくさつじゅうばつきていいけんはんけつ尊属殺人罪について通常の殺人罪よりも著しく重い刑罰を定める規定を、法の下の平等に反し違憲とした判決。
堀木訴訟
ほりきそしょう障害福祉年金と児童扶養手当の併給を禁止する規定の合憲性が争われ、生存権の保障はプログラム規定であり、その具体化は立法裁量に委ねられるとした判決。
旭川学力テスト事件
あさひかわがくりょくてすとじけん子どもの教育について、国は必要かつ相当と認められる範囲で教育内容を決定する権能を有するとした、教育権の所在が争われた判決。
成田新法事件
なりたしんぽうじけん行政手続にも憲法31条の保障が及びうるが、行政処分の性質等を総合較量して事前の告知・弁明の機会の要否を判断すべきとした判決。
空知太神社事件
そらちぶとじんじゃじけん市有地を神社施設の敷地として無償で提供することが、政教分離原則に違反するとした判決。
徳島市公安条例事件
とくしましこうあんじょうれいじけん刑罰法規の明確性が争われ、通常の判断能力を有する一般人の理解において具体的場合に当該行為がその適用を受けるものかどうかの判断を可能ならしめる基準が読み取れれば足りるとした判決。
北方ジャーナル事件
ほっぽうじゃーなるじけん表現行為に対する事前差止めは原則として許されないとしつつ、名誉毀損の場合等の例外を認めた判決。
前科照会事件
ぜんかしょうかいじけん前科等の情報はみだりに公開されないという法律上の保護に値する利益があるとした判決。
全農林警職法事件
ぜんのうりんけいしょくほうじけん国家公務員の争議行為の一律禁止を合憲とした判決。
相当補償説・完全補償説
そうとうほしょうせつ・かんぜんほしょうせつ憲法29条3項の「正当な補償」の程度について、合理的に算出された相当な額でよいとする相当補償説と、被侵害財産の客観的市場価格の全額を要するとする完全補償説の対立。
租税法律主義
そぜいほうりつしゅぎ新たに租税を課しまたは現行の租税を変更するには、法律または法律の定める条件によることを要するとする原則。
裁判員制度
さいばんいんせいど国民の中から選ばれた裁判員が刑事裁判に参加し、裁判官とともに事実認定・量刑判断を行う制度。
上尾市福祉会館事件
あげおしふくしかいかんじけん公共施設の利用拒否が許されるのは、利用によって他の基本的人権が侵害され、公共の福祉が害される明白かつ現在の危険が具体的に予見される場合に限られるとした判決。
苫米地事件
とまべちじけん衆議院の解散のような直接国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為は、法律上の争訟として裁判所の審査の対象外であるとした判決。
取材の自由
しゅざいのじゆう報道機関の取材の自由は、憲法21条の精神に照らし十分尊重に値するとされる自由。
拷問及び残虐な刑罰の禁止
ごうもんおよびざんぎゃくなけいばつのきんし公務員による拷問及び残虐な刑罰を絶対的に禁止する規定。
身体の自由(適正な刑事手続)
しんたいのじゆう何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命・自由を奪われないとする、刑事手続における人身の自由の保障。
法定手続の保障
ほうていてつづきのほしょう手続が法律で定められているだけでなく、その手続の内容も適正でなければならないとする憲法31条の解釈。
外国移住・国籍離脱の自由
がいこくいじゅう・こくせきりだつのじゆう外国に移住し、または国籍を離脱する自由。
名誉毀損と表現の自由(真実相当性の法理)
めいよきそんとひょうげんのじゆう名誉毀損表現であっても、摘示事実が真実であることの証明がない場合でも、行為者がそれを真実と信じたことについて相当の理由があるときは違法性が阻却されるとする判例法理。
砂川事件
すながわじけん日米安全保障条約に基づく駐留米軍の合憲性が争われ、高度の政治性を有する統治行為については、一見極めて明白に違憲無効でない限り司法審査の対象外であるとした判決。
衆議院の解散(7条解散・69条解散)
しゅうぎいんのかいさん衆議院の解散は69条所定の内閣不信任決議可決の場合に限られるとする69条限定説と、7条の天皇の国事行為に対する内閣の助言と承認を根拠に内閣が自由に解散を決定できるとする7条解散説の対立がある。実務上は7条解散が定着している。
朝日訴訟
あさひそしょう生活保護基準の適否が争われ、憲法25条は国の責務を宣言したにとどまり、具体的権利を国民に与えたものではないとするプログラム規定説に立った判決。
薬事法距離制限事件
やくじほうきょりせいげんじけん薬局開設の距離制限規定について、不良医薬品の供給防止という目的は、より緩やかな規制でも達成できるとして、職業選択の自由を侵害し違憲とした判決。
住基ネット訴訟
じゅうきねっとそしょう住民基本台帳ネットワークシステムによる本人確認情報の管理・利用等は、個人に関する情報をみだりに第三者に開示または公表されない自由を侵害しないとした判決。
三菱樹脂事件
みつびしじゅしじけん憲法の人権規定は私人相互間には直接適用されず、民法90条等の一般条項を通じて間接的に適用されるとした、私人間効力に関する代表的判決。
GPS捜査事件
じーぴーえすそうさじけん捜査機関による令状なしのGPS発信機を用いた位置情報取得捜査は、個人のプライバシーを侵害する強制の処分にあたり、令状がなければ行うことができないとした判決。
肖像権
しょうぞうけん何人も、その承諾なしにみだりにその容ぼう・姿態を撮影されない自由を有するとされる、憲法13条を根拠とする権利。
事前抑制の原則的禁止
じぜんよくせいのげんそくてききんし表現行為に対する事前差止めは、表現の自由を確保する上で特に重要な意味を持つことから、厳格かつ明確な要件のもとでのみ許容されるとする原則。
民法
111語意思表示
いしひょうじ一定の法律効果の発生を欲する意思を外部に表示する行為。契約など法律行為を構成する要素となる。
錯誤
さくご表意者の認識と真実とが食い違うこと。法律行為の目的等に照らして重要なものであるとき、意思表示は取り消しうる(民法95条)。
詐欺
さぎ他人を欺罔して錯誤に陥らせ、意思表示をさせること。詐欺による意思表示は取り消すことができる(96条)。
強迫
きょうはく他人に害悪を示して畏怖させ、意思表示をさせること。強迫による意思表示は取り消すことができる(96条)。
心裡留保
しんりりゅうほ表意者が真意でないことを自ら知りながらする意思表示。原則有効だが、相手方が悪意・有過失なら無効となる。
虚偽表示(通謀虚偽表示)
きょぎひょうじ相手方と通じて行う真意でない意思表示。当事者間では無効だが、善意の第三者には対抗できない。
制限行為能力者
せいげんこういのうりょくしゃ単独では完全に有効な法律行為をすることができない者。未成年者・成年被後見人・被保佐人・被補助人が該当する。
成年後見制度
せいねんこうけんせいど判断能力が不十分な者を保護するための制度。判断能力の程度に応じて後見・保佐・補助の3類型に分かれる。
権利能力
けんりのうりょく権利義務の主体となることができる資格。自然人は出生に始まり死亡によって終わる。
失踪宣告
しっそうせんこく生死不明の者を法律上死亡したものとみなす制度。普通失踪(7年)と特別失踪(1年)がある。
代理
だいり本人に代わって第三者(代理人)が意思表示をし、その法律効果が直接本人に帰属する制度。
無権代理
むけんだいり代理権がないにもかかわらず代理人として行為すること。本人が追認しない限り、本人に効果は帰属しない。
表見代理
ひょうけんだいり代理権があるかのような外観が存在し、それを信頼した相手方を保護するため本人に責任を負わせる制度。
復代理
ふくだいり代理人が自己の権限内の行為を行わせるために選任した、本人を代理する者。
消滅時効
しょうめつじこう権利を行使しない状態が一定期間継続したことにより、その権利が消滅する制度。
取得時効
しゅとくじこう一定期間、物を占有し続けることにより所有権等の権利を取得する制度。
時効の完成猶予・更新
じこうのかんせいゆうよ・こうしん時効の完成を一時的に猶予する事由(完成猶予)と、経過した期間をリセットする事由(更新)の総称。
物権変動
ぶっけんへんどう物権の発生・変更・消滅。当事者の意思表示のみで効力を生じ、第三者対抗には登記・引渡し等の対抗要件を要する。
対抗要件
たいこうようけん物権変動等を第三者に主張するために必要な要件。不動産は登記、動産は引渡しが対抗要件となる。
即時取得(善意取得)
そくじしゅとく動産取引において、平穏・公然・善意・無過失で占有を始めた者が、その動産上の権利を取得する制度。
抵当権
ていとうけん債務者または第三者が占有を移さずに担保として供した不動産等から、他の債権者に優先して弁済を受ける担保物権。
質権
しちけん債権の担保として債務者または第三者から目的物の占有を受け取り、弁済がないとき優先弁済を受けられる担保物権。
留置権
りゅうちけん他人の物を占有する者が、その物に関して生じた債権の弁済を受けるまでその物を留置できる法定担保物権。
先取特権
さきどりとっけん法律の定める特殊の債権を有する者が、債務者の財産から優先的に弁済を受けられる法定担保物権。
連帯債務
れんたいさいむ数人の債務者が同一内容の給付につき、各自独立して全部の履行をすべき義務を負う多数当事者の債務関係。
連帯保証
れんたいほしょう保証人が主たる債務者と連帯して債務を負担する保証。催告の抗弁権・検索の抗弁権を持たない。
債権譲渡
さいけんじょうと債権をその同一性を保ったまま第三者に移転する契約。譲渡制限特約があっても原則として譲渡の効力は妨げられない。
弁済
べんさい債務者が債務の内容である給付を実現し、債権を消滅させる行為。
相殺
そうさい互いに同種の債権を有する当事者が、対当額で双方の債務を消滅させる一方的な意思表示。
不当利得
ふとうりとく法律上の原因なく他人の財産または労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼすこと。受益者は返還義務を負う。
不法行為
ふほうこうい故意または過失により他人の権利・利益を侵害し損害を与える行為。加害者は損害賠償責任を負う(709条)。
使用者責任
しようしゃせきにん被用者が事業の執行につき第三者に加えた損害について、使用者が負う賠償責任(715条)。
工作物責任
こうさくぶつせきにん土地の工作物の設置・保存の瑕疵により生じた損害について、占有者または所有者が負う責任(717条)。
婚姻
こんいん当事者が夫婦となる身分行為。届出をすることによってその効力を生じる法律婚主義がとられている。
離婚
りこん婚姻を将来に向けて解消すること。協議離婚・調停離婚・審判離婚・裁判離婚の方式がある。
相続
そうぞく被相続人の財産に属した一切の権利義務を、相続人が包括的に承継すること。
法定相続分
ほうていそうぞくぶん遺言がない場合に、法律が定める各相続人の取り分の割合。
遺留分
いりゅうぶん一定の範囲の相続人に法律上保障される、最低限の相続財産の取り分。
遺産分割
いさんぶんかつ共同相続人間で、相続財産を具体的に分配し帰属を確定させる手続。
代襲相続
だいしゅうそうぞく相続人となるべき者が相続開始前に死亡・欠格・廃除により相続権を失った場合、その者の子が代わって相続する制度。
契約の解除(催告解除・無催告解除)
かいじょ契約当事者の一方的意思表示により契約を遡って解消すること。原則は相当期間を定めた催告を要するが、履行不能等の場合は無催告で解除できる。
危険負担
きけんふたん双務契約において、一方の債務が当事者双方の責めに帰さない事由で履行不能となった場合に、他方の債務の帰趨を定めるルール。
定型約款
ていけいやっかん定型取引において契約内容とすることを目的として準備された条項の総体。表示・開示等の要件のもとで契約内容に組み入れられる。
債権者代位権
さいけんしゃだいいけん債権者が自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を債務者に代わって行使する権利。
詐害行為取消権
さがいこういとりけしけん債務者が債権者を害することを知ってした法律行為の取消しを、裁判所に請求できる債権者の権利。
共有
きょうゆう一つの物を複数人が持分をもって所有する状態。変更行為には共有者全員の同意、管理行為には持分価格の過半数を要する。
地上権
ちじょうけん他人の土地において工作物または竹木を所有するために、その土地を使用する用益物権。
地役権
ちえきけん設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する用益物権。
占有権
せんゆうけん自己のためにする意思をもって物を所持することにより取得する権利。本権の有無を問わず占有の事実状態を保護する。
根抵当権
ねていとうけん一定範囲に属する不特定の債権を、極度額の限度において担保する抵当権。
保証債務(付従性・随伴性)
ほしょうさいむ主たる債務の存在を前提とし(付従性)、債権が移転すれば保証債権も移転する(随伴性)性質を持つ、保証人が負う債務。
個人根保証契約
こじんねほしょうけいやく個人が保証人となる根保証契約。極度額を定めなければ効力を生じない。
養子縁組
ようしえんぐみ血縁によらず法律上の親子関係を発生させる制度。普通養子縁組と、実方との親族関係を終了させる特別養子縁組がある。
共同親権
きょうどうしんけん父母の婚姻中、父母が共同して子の親権を行使すること。
相続放棄
そうぞくほうき自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月(熟慮期間)以内に家庭裁判所に申述し、初めから相続人とならなかったものとみなされる制度。
背信的悪意者
はいしんてきあくいしゃ実体上の権利関係を知りながら権利取得を主張する悪意の第三者のうち、登記の欠缺を主張することが信義則上許されないと認められる者。
法定地上権
ほうていちじょうけん土地と建物が同一所有者に属する場合において、抵当権の実行によりそれぞれ所有者を異にするに至ったとき、法律上当然に成立する地上権。
意思能力
いしのうりょく自己の行為の結果を判断することができる精神的能力。意思能力を欠く状態でした法律行為は無効となる。
婚姻適齢
こんいんてきれい婚姻をすることができる年齢。民法改正により男女とも18歳に統一された。
取消権者
とりけしけんしゃ制限行為能力・錯誤・詐欺・強迫等を理由に法律行為を取り消すことができる者。制限行為能力者本人・法定代理人・承継人等が含まれる。
事務管理
じむかんり義務なく他人のために事務の管理を始めた者が、本人の意思・利益に適合するよう管理を継続すべき義務等を負う制度。
消費貸借
しょうひたいしゃく当事者の一方が種類・品質・数量の同じ物をもって返還することを約して、相手方から金銭その他の物を受け取る契約。書面でする場合は諾成契約となる。
使用貸借
しようたいしゃく当事者の一方が無償で使用収益をした後に返還することを約して、相手方からある物を受け取る契約。
賃貸借
ちんたいしゃく当事者の一方が物の使用収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対して賃料を支払うことを約する契約。
請負
うけおい当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約する契約。
委任
いにん当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって成立する契約。各当事者はいつでも解除できる。
贈与
ぞうよ当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾することによって成立する契約。
和解
わかい当事者が互いに譲歩して、その間に存する争いをやめることを約する契約。争いの目的である権利について異なる事実が後に判明しても、和解の効力は原則覆らない。
組合
くみあい各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって成立する契約。
相隣関係
そうりんかんけい隣接する土地相互の利用を調整するために民法が定める権利義務関係。隣地使用権・囲繞地通行権などがある。
混同
こんどう債権と債務、所有権と他の物権などが同一人に帰属することにより権利が消滅すること。
共同不法行為
きょうどうふほうこうい複数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えた場合、各自が連帯して損害賠償責任を負う制度。
監督義務者責任
かんとくぎむしゃせきにん責任無能力者が他人に損害を加えた場合に、その者を監督する法定の義務を負う者が負う賠償責任。
相続欠格・廃除
そうぞくけっかく・はいじょ被相続人を殺害する等の非行があった者が法律上当然に相続権を失う相続欠格と、被相続人の請求により家庭裁判所が相続権を失わせる廃除の制度。
特別寄与料
とくべつきよりょう相続人以外の被相続人の親族が無償で療養看護等を行った場合に、相続人に対し金銭の支払を請求できる制度。
契約不適合責任
けいやくふてきごうせきにん引き渡された目的物が種類・品質・数量に関して契約内容に適合しない場合に、売主等が負う追完請求・代金減額請求・損害賠償・解除に応じる責任。
一般社団法人・一般財団法人
いっぱんしゃだんほうじん・いっぱんざいだんほうじん剰余金の分配を目的としない社団・財団について、準則主義により法人格を取得できる制度。
動産質権
どうさんしちけん動産を目的とする質権。設定には目的物の引渡しを要し、占有を継続することが第三者対抗要件となる。
遺言(自筆証書遺言)
いごん遺言者の最終意思を尊重し、死後にその効力を生じさせる単独行為。自筆証書遺言は全文・日付・氏名を自書し押印することを要する。
相続分
そうぞくぶん各共同相続人が相続財産に対して有する権利・義務の割合。指定相続分が優先し、なければ法定相続分による。
法定利率
ほうていりりつ当事者間に利率の合意がない場合に適用される利率。3年ごとに見直される変動制がとられている。
催告の抗弁権・検索の抗弁権
さいこくのこうべんけん・けんさくのこうべんけん保証人が、まず主債務者に催告すべきことを主張できる催告の抗弁権と、主債務者に弁済資力があり執行が容易であることを証明して先に主債務者の財産に執行すべきことを主張できる検索の抗弁権。連帯保証人にはいずれも認められない。
一身専属権
いっしんせんぞくけん権利者本人だけが行使できる権利で、相続の対象とならないもの。扶養請求権などが該当する。
敷金
しききん賃貸借契約に基づいて生じる賃借人の金銭債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭。
悪意受益者
あくいじゅえきしゃ法律上の原因がないことを知りながら利益を受けた者。受けた利益に利息を付して返還し、なお損害があるときはその賠償責任も負う。
果実(天然果実・法定果実)
かじつ物から生ずる収益。物の用法に従い収取する産出物である天然果実と、物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物である法定果実に分かれる。
善意占有者・悪意占有者の果実収取権
ぜんいせんゆうしゃ・あくいせんゆうしゃ占有物から生じる果実について、善意の占有者は取得できるが、悪意の占有者は返還義務を負う。
盗品・遺失物の回復請求
とうひん・いしつぶつのかいふくせいきゅう占有物が盗品または遺失物であるときは、被害者・遺失主は盗難・遺失の時から原則2年間、占有者に対しその物の回復を請求できる。
一般先取特権
いっぱんさきどりとっけん債務者の総財産を目的とする先取特権。共益費用・雇用関係・葬式費用・日用品供給の先取特権がある。
双務契約・片務契約
そうむけいやく・へんむけいやく当事者双方が対価的な債務を負担する双務契約と、一方のみが債務を負担する片務契約という契約の分類。
譲渡制限特約
じょうとせいげんとくやく債権の譲渡を禁止・制限する当事者の合意。特約があっても債権譲渡の効力は原則として妨げられない。
雇用
こよう当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対して報酬を与えることを約する契約。
区分所有法
くぶんしょゆうほう分譲マンション等、一棟の建物を区分して所有する場合の権利関係・管理組合の運営等を定める法律。
胎児の権利能力
たいじのけんりのうりょく胎児は原則として権利能力を有しないが、不法行為に基づく損害賠償請求・相続・遺贈については既に生まれたものとみなされる。
住所(生活の本拠)
じゅうしょ各人の生活の本拠をその者の住所とする原則。
外形標準説
がいけいひょうじゅんせつ使用者責任における「事業の執行について」の要件を、行為の外形から客観的に判断するとする判例上の基準。
信頼関係破壊の法理
しんらいかんけいはかいのほうり賃貸借契約における無断譲渡・転貸等の解除事由があっても、当事者間の信頼関係を破壊するに至らない特段の事情があるときは解除できないとする判例法理。
代理権授与表示
だいりけんじゅよひょうじ本人が第三者に対し、他人に代理権を与えた旨を表示すること。この表示を受けた第三者との間で表見代理が成立しうる。
絶対効・相対効
ぜったいこう・そうたいこう連帯債務者の一人について生じた事由が他の連帯債務者にも効力を及ぼす絶対効と、当該債務者についてのみ効力を生じる相対効という、多数当事者の債権関係における効果の分類。
目的の範囲(法人の権利能力の制限)
もくてきのはんい法人は定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内において権利を有し義務を負うとする、法人の権利能力に関する制限。
保佐・補助(同意権の範囲)
ほさ・ほじょ事理弁識能力が著しく不十分な者を保護する保佐と、不十分な者を保護する補助。保佐人には民法13条1項所定行為への同意権が、補助人には家庭裁判所が定める特定の行為への同意権が付与される。
物上保証人
ぶつじょうほしょうにん他人の債務を担保するため、自己の財産に抵当権・質権等の担保物権を設定した者。自ら債務を負うものではないが、担保物件の限度で責任を負う。
不可分債務
ふかぶんさいむ数人の債務者が、性質上分割して履行することができない給付を目的とする債務を負う多数当事者の債務関係。
法定離婚原因
ほうていりこんげんいん裁判上の離婚を請求できる事由として民法が定めるもの。不貞行為・悪意の遺棄・3年以上の生死不明・回復の見込みがない強度の精神病・その他婚姻を継続し難い重大な事由がある。
条件成就妨害
じょうけんじょうじゅぼうがい条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方はその条件が成就したものとみなすことができる。
公序良俗
こうじょりょうぞく社会の一般的秩序と道徳観念。公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は無効となる。
無効と取消しの違い
むこうととりけしのちがい無効は初めから法律行為の効力が生じず誰からでも主張できるのに対し、取消しは取消権者が取り消すまでは一応有効で、取消権者のみが主張できる。
善意・悪意(善意無過失)
ぜんい・あくいある事実を知らないことを善意、知っていることを悪意という。民法上、単なる不知にとどまらず過失なく知らなかったことを要する場面では善意無過失が要件とされる。
法人格否認の法理
ほうじんかくひにんのほうり法人格が濫用され、または形骸化している場合に、特定の法律関係につき会社の法人格を否定し、背後の実体に即して処理する判例上の法理。
配偶者居住権
はいぐうしゃきょじゅうけん被相続人の配偶者が、相続開始時に居住していた被相続人所有の建物に、終身または一定期間無償で居住できる権利。
時効の援用
じこうのえんよう時効の利益を受けるという意思を表示すること。時効は当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。
行政法
96語処分性
しょぶんせい行政庁の処分その他公権力の行使にあたる行為であることの性質。取消訴訟の対象となるかを画する要件で、国民の権利義務を直接形成・確定する行為に認められる。
原告適格
げんこくてきかく取消訴訟等を提起できる資格。処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に認められる(行政事件訴訟法9条)。
訴えの利益
うったえのりえき処分の取消しにより現実に回復される法律上の利益があること。訴訟要件の一つで、事後的に消滅すれば訴えは却下される。
取消訴訟
とりけしそしょう行政庁の違法な処分・裁決の取消しを求める抗告訴訟の類型(行訴法3条2項)。出訴期間・審査請求前置等の制約がある。
無効等確認訴訟
むこうとうかくにんそしょう処分の無効を確認する抗告訴訟。出訴期間の制限を受けない点で取消訴訟と異なる。
不作為の違法確認訴訟
ふさくいのいほうかくにんそしょう行政庁が申請に対し相当期間内に何らかの処分をしないことの違法確認を求める抗告訴訟。
義務付け訴訟
ぎむづけそしょう行政庁に一定の処分をすべき旨を命ずることを求める抗告訴訟。申請型と非申請型がある。
差止め訴訟
さしとめそしょう行政庁が一定の処分をしてはならない旨を命ずることを求める抗告訴訟。
出訴期間
しゅっそきかん取消訴訟を提起できる期間の制限。処分・裁決を知った日から6か月、あった日から1年(行訴法14条)。
執行停止
しっこうていし取消訴訟提起後、処分の効力・執行等を仮に停止する制度。執行不停止の原則の例外にあたる。
執行不停止の原則
しっこうふていしのげんそく取消訴訟の提起は原則として処分の効力・執行・手続の続行を妨げないとする原則(行訴法25条1項)。
公定力
こうていりょく行政行為は、権限ある機関が取り消すまでは一応有効なものとして扱われる効力。
不可争力
ふかそうりょく出訴期間の経過等により、私人の側から行政行為の効力を争えなくなる効力。
不可変更力
ふかへんこうりょく審査請求の裁決など争訟手続を経た行政行為について、行政庁自らも自由に取り消し・変更できなくなる効力。
行政上の強制執行
ぎょうせいじょうのきょうせいしっこう私人が行政上の義務を履行しない場合に、行政が実力で義務内容を実現する制度。代執行・執行罰・直接強制・滞納処分がある。
代執行
だいしっこう代替的作為義務の不履行に対し、行政庁自らまたは第三者が義務者のなすべき行為を行い、費用を義務者から徴収する制度(行政代執行法)。
即時強制
そくじきょうせい義務を命じることなく、行政が直接に身体・財産に実力を行使して行政目的を実現する作用。
行政上の秩序罰
ぎょうせいじょうのちつじょばつ届出義務違反等の軽微な義務違反に科される過料。刑罰ではなく非訟事件手続法等により科される。
行政指導
ぎょうせいしどう行政機関が一定の行政目的実現のため、相手方の任意の協力を求める非権力的な行為(行政手続法2条6号)。
審査基準
しんさきじゅん申請に対する処分をするか否かを判断するための基準。行政庁は定めるとともに、原則として公にしておく義務がある(行手法5条)。
処分基準
しょぶんきじゅん不利益処分をするか否か・その内容を判断するための基準。設定・公表は努力義務にとどまる(行手法12条)。
聴聞
ちょうもん許認可等の取消しなど重大な不利益処分に先立って行われる、対審構造をとる意見陳述手続。
弁明の機会の付与
べんめいのきかいのふよ聴聞の対象とならない不利益処分に際し、原則として書面の提出により弁明の機会を与える簡易な手続。
理由提示
りゆうていじ申請拒否処分や不利益処分をする際、処分の理由を名宛人に示さなければならない義務(行手法8条・14条)。
意見公募手続(パブリックコメント)
いけんこうぼてつづき命令等を制定しようとする際に、案を公示し広く一般の意見を募集する手続(行手法6章)。
審査請求
しんさせいきゅう行政不服審査法に基づき、処分庁等以外の行政庁(原則として最上級行政庁)に対して不服を申し立てる手続。
審理員
しんりいん審査請求の審理手続を行う、当該処分に関与していない職員。審理員意見書を作成し裁決庁に提出する。
裁決
さいけつ審査請求に対して行政庁が下す判断。認容・棄却・却下の3種類がある。
国家賠償法1条責任
こっかばいしょうほういちじょうせきにん公務員が職務執行につき故意・過失により違法に他人に損害を加えた場合に、国・公共団体が負う賠償責任。
国家賠償法2条責任
こっかばいしょうほうにじょうせきにん公の営造物の設置または管理の瑕疵により生じた損害について、国・公共団体が負う無過失責任。
行政計画
ぎょうせいけいかく行政機関が一定の目標を設定し、その実現のための手段を総合的に提示する計画。原則として処分性は否定されるが例外もある。
直接請求
ちょくせつせいきゅう住民が条例の制定・改廃、事務の監査、議会の解散、首長・議員の解職等を直接請求できる地方自治法上の制度。
住民訴訟
じゅうみんそしょう住民が地方公共団体の違法な財務会計上の行為につき、監査請求を経て是正を求める訴訟。
行政行為
ぎょうせいこうい行政庁が法律に基づき、権力的に国民の権利義務を具体的に決定する行為の総称。許可・特許・認可などの類型がある。
行政裁量(羈束裁量・自由裁量)
ぎょうせいさいりょう法律が行政庁の判断の余地を認めている場合の裁量。裁量権の逸脱・濫用があれば違法となり、司法審査の対象となる。
附款
ふかん行政行為の効果を制限し、または特別の義務を付加するために行政庁が付す意思表示。条件・期限・負担・撤回権の留保などの種類がある。
行政行為の職権取消し
しょくけんとりけし行政行為に成立当初から瑕疵があった場合に、処分庁等が職権でその効力を遡って失わせること。
行政行為の撤回
てっかい適法に成立した行政行為について、その後の事情変化を理由に行政庁が将来に向けてその効力を失わせること。
公法上の当事者訴訟
とうじしゃそしょう対等な当事者間の公法上の法律関係に関する訴訟。実質的当事者訴訟と、処分・裁決の効力を争う訴訟を当事者訴訟の形式によらせる形式的当事者訴訟がある。
法律による行政の原理
ほうりつによるぎょうせいのげんり行政は法律に基づき法律に従って行われなければならないとする原則。法律の法規創造力・法律の優位・法律の留保の3つの内容からなる。
自由選択主義
じゆうせんたくしゅぎ処分に不服がある者が、審査請求と取消訴訟のいずれを選んでも、あるいは同時に提起してもよいとする原則。
審査請求前置主義
しんさせいきゅうぜんちしゅぎ個別法に定めがある場合に限り、取消訴訟の提起前に審査請求に対する裁決を経なければならないとする例外的な原則。
教示
きょうじ行政庁が処分の際に、不服申立てができる旨・不服申立てをすべき行政庁・不服申立てができる期間を相手方に示す制度。
情報公開法
じょうほうこうかいほう行政機関の保有する文書等の開示を請求する権利を国民に保障し、行政の説明責任を全うすることを目的とする法律。
個人情報保護法
こじんじょうほうほごほう個人情報を取り扱う事業者・行政機関等が遵守すべきルールを定め、個人の権利利益を保護する法律。
開示請求
かいじせいきゅう何人も行政機関の長に対し、行政文書の開示を請求できる情報公開法上の権利。
条例
じょうれい地方公共団体がその自治権に基づき、法律の範囲内で議会の議決により制定する自主法。
条例制定権
じょうれいせいていけん地方公共団体が法律の範囲内で条例を制定できる権能。地方自治の本旨に基づき憲法上保障される。
住民監査請求
じゅうみんかんさせいきゅう住民が地方公共団体の違法・不当な財務会計上の行為につき、監査委員に監査と是正措置を求める制度。住民訴訟の前置手続となる。
営造物責任
えいぞうぶつせきにん国・公共団体が設置管理する公の営造物の設置・管理に瑕疵があったために生じた損害についての賠償責任。
行政刑罰
ぎょうせいけいばつ行政法規違反に対して科される刑法上の刑罰(懲役・罰金等)。原則として刑法総則が適用される。
標準処理期間
ひょうじゅんしょりきかん行政庁が申請の到達から処分をするまでに通常要すべき標準的な期間。定めた場合は公にする努力義務がある。
主宰者
しゅさいしゃ聴聞の期日における審理を主宰する、行政庁が指名する職員。
行政立法(法規命令・行政規則)
ぎょうせいりっぽう行政機関が定める一般的規範の総称。国民の権利義務を規律する法規命令と、行政組織内部にとどまる行政規則に分類される。
通達
つうたつ上級行政機関が下級行政機関の権限行使を指揮するために発する行政規則。原則として国民を直接拘束しない。
行政契約
ぎょうせいけいやく行政主体が私人等と対等な立場で締結する契約。公害防止協定や水道供給契約などが例として挙げられる。
許可・特許・認可
きょか・とっきょ・にんか行政行為の講学上の分類。許可は一般的禁止の解除、特許は権利等を新たに設定する行為、認可は私人間の法律行為を補充してその効力を完成させる行為をいう。
専決処分
せんけつしょぶん普通地方公共団体の長が、議会の議決すべき事件について、議会を招集する時間的余裕がない等の場合に自ら処分すること。
民衆訴訟
みんしゅうそしょう国または公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するもの。
機関訴訟
きかんそしょう国または公共団体の機関相互間における権限の存否・行使に関する紛争についての訴訟。
取消判決の対世効・拘束力
たいせいこう・こうそくりょく取消判決は第三者に対しても効力を有し(対世効)、処分をした行政庁その他の関係行政庁を拘束する(拘束力)。
内閣総理大臣の異議
ないかくそうりだいじんのいぎ処分の執行停止決定に対し、内閣総理大臣が裁判所に異議を述べることができる制度。異議には理由を付さなければならない。
執行罰
しっこうばつ代替的作為義務以外の義務の不履行に対し、過料を課すことを予告して間接的に義務履行を強制する制度。現行法では砂防法にのみ残存する。
自治事務・法定受託事務
じちじむ・ほうていじゅたくじむ地方公共団体の事務のうち、法定受託事務以外のものを自治事務、本来国等が果たすべき役割に係る事務で法令により処理が義務付けられるものを法定受託事務という。
信頼保護の原則
しんらいほごのげんそく行政庁の言動を信頼した相手方の利益を保護すべきとする、判例・学説上確立した行政法の一般原則。
重大明白説
じゅうだいめいはくせつ行政行為が無効となるのは、瑕疵が重大であり、かつ外見上一見して明白である場合に限るとする判例上の基準。
争点訴訟
そうてんそしょう私法上の法律関係に関する訴訟において、行政処分の存否・効力の有無が争点となる訴訟。取消訴訟に関する規定の一部が準用される。
都道府県・市町村・特別区
とどうふけん・しちょうそん・とくべつく地方自治法上の地方公共団体の種類。都道府県・市町村は普通地方公共団体、特別区等は特別地方公共団体に分類される。
行政調査
ぎょうせいちょうさ行政機関が行政目的達成のために行う情報収集活動。国税に関する質問検査権など個別法で権限・手続が定められる。
補充性
ほじゅうせい即時強制など権力的な行政作用は、他に手段がない場合に限って認められるべきとする要請。
到達主義
とうたつしゅぎ意思表示は相手方に到達した時からその効力を生じるとする原則。行政手続では申請の到達時期が標準処理期間の起算等の基準となる。
議会の招集・定例会・臨時会
ぎかいのしょうしゅう普通地方公共団体の議会は、条例で定める回数招集される定例会と、必要がある場合に招集される臨時会からなる。
再議権
さいぎけん普通地方公共団体の長が、議会の議決に異議があるとき、理由を示して再度審議・議決を求めることができる権限。
求償権
きゅうしょうけん国・公共団体が公務員に故意または重大な過失があったときに、その公務員に対して行使できる求償の権利。
仮の義務付け・仮の差止め
かりのぎむづけ・かりのさしとめ義務付け訴訟・差止訴訟の提起があった場合に、本案判決を待っていては償うことのできない損害を避けるため、裁判所が仮に一定の措置を命ずる制度。
法律上の利益
ほうりつじょうのりえき処分の相手方以外の第三者が取消訴訟の原告適格を有するかを判断する際の中核的な基準となる文言。処分の根拠法規が個々人の個別的利益として保護する趣旨を含むかで判断される。
公務員個人責任
こうむいんこじんせきにん国家賠償法上、公務員に故意・過失があった場合でも、被害者は公務員個人に対して直接損害賠償を請求できないとする判例法理。
授益処分・侵害処分
じゅえきしょぶん・しんがいしょぶん相手方に利益を付与する授益処分と、義務を課しまたは権利を制限する侵害処分という、行政行為の効果に着目した分類。
比較衡量
ひかくこうりょう対立する利益を比較して優劣を判断する、違憲審査・行政裁量統制の手法。
戒告
かいこく代執行を行うに当たり、相当の履行期限を定めてその期限までに履行がないときは代執行をなすべき旨を、あらかじめ文書で義務者に通知する行為。
不開示情報・存否応答拒否
ふかいじじょうほう・そんぴおうとうきょひ情報公開法上、開示すると個人情報等の権利利益を害するおそれがある不開示情報の類型と、存否を答えるだけで不開示情報を開示したことになる場合に存否自体を明らかにせず拒否できる制度。
過料
かりょう行政上の秩序罰として科される金銭罰。刑罰ではなく非訟事件手続法の定める手続により科される。
副知事・副市町村長
ふくちじ・ふくしちょうそんちょう普通地方公共団体の長を補佐し、長の職務を代理することがある補助機関。
議会の懲罰・議長
ぎかいのちょうばつ・ぎちょう地方公共団体の議会が有する内部規律を保つための懲罰権と、議会の議事を整理し秩序を保持する議長の権限。
行政手続条例
ぎょうせいてつづきじょうれい地方公共団体が、行政手続法の対象とならない条例・規則に基づく処分等について、行政手続法に準じて定める条例。
行政手続法の適用除外
ぎょうせいてつづきほうのてきようじょがい国会・裁判所の手続、刑事事件に関する法令に基づく処分等、行政手続法の規定が適用されない事項の定め。
個人関連情報・要配慮個人情報
こじんかんれんじょうほう・ようはいりょこじんじょうほう個人情報に該当しないが個人に関連する情報である個人関連情報と、人種・信条・病歴等本人に対する不当な差別等が生じないよう特に配慮を要する要配慮個人情報。
特別地方公共団体
とくべつちほうこうきょうだんたい特別区・地方公共団体の組合・財産区など、普通地方公共団体以外の地方公共団体。
行政強制
ぎょうせいきょうせい行政上の義務の履行を実力で確保するための作用の総称。行政上の強制執行と即時強制に大別される。
併合提起
へいごうていき取消訴訟に、その処分に関連する請求を併合して提起すること。
権限配分
けんげんはいぶん国と地方公共団体、または行政機関相互間で、いずれが事務・権限を担うかを定めること。
相互保証主義
そうごほしょうしゅぎ国家賠償法上、外国人が被害者である場合、その者の属する国が日本人に対して同様の国家賠償を認めているときに限り適用するとする原則。
機関委任事務の廃止
きかんいにんじむのはいし都道府県知事・市町村長等を国の機関として国の事務を処理させていた機関委任事務制度が、地方分権一括法により廃止され、自治事務・法定受託事務に再編されたこと。
行政罰(行政刑罰・秩序罰)
ぎょうせいばつ行政法規違反に対する制裁の総称。刑法上の刑罰を科す行政刑罰と、過料を科す行政上の秩序罰に分かれる。
規制権限の不行使
きせいけんげんのふこうし行政庁が有する規制権限を行使しなかったことが、被害者に対する国家賠償法上の違法と評価されうるとする法理。
違法性の承継
いほうせいのしょうけい先行する行政行為の違法性を、後行の行政行為に対する取消訴訟の中で主張できるかという問題。原則否定されるが、両者が一連の手続を構成する場合等は例外的に承継が認められる。